形成外科

形成外科

形成外科とは

形成外科は日常生活、社会生活のQOL(Quality of Life)を重視しながら、全身の体表面を診る診療科です。

みなさまがいきいきと健康で楽しく過ごしていただくために、事故などの傷跡、ひきつれ、ニキビ、湿疹、皮膚のできものなど、先天的なものから後天的に生じたものまで、見た目や機能を正常に美しく整えるよう治療、再建していきます。

経験豊富な形成外科専門医2名体制で診療いたしますので、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。

当院の形成外科

  • ほくとグループとの連携による万全のサポート体制

    ほくとグループとの連携による万全のサポート体制

    患者様の健康と安全を第一に考えた安心の医療を提供するために、隣接する神戸ほくと病院と協力体制をとることにより、万が一のトラブルや手術後のフォローなどにもしっかりと対応できる体制を整えています。全身麻酔が必要な場合、神戸ほくと病院で手術、入院をお受けいたします。

    また、治療内容によっては神戸大学医学部附属病院と連携し、安全かつ安心の医療を提供いたします。

  • 術前の入念なカウンセリング

    術前の入念な診察

    治療前の入念な診察は、形成外科手術や治療の成功と患者様に適した最善の治療の提供するために非常に重要です。時間をかけて患者様とコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことを心掛けています。

    治療や手術を受けることのメリットだけでなく、デメリットもお伝えし充分にご理解をいただいた上で、治療に臨みます。

  • 確かな技術力、信頼の医療

    確かな技術力、信頼の医療

    当院は、確かな技術力と高い信頼性を兼ね備えた医療機関として、患者様の安心と健康を第一に考えています。常に最新の医療ガイドラインに従い、最良の結果を提供します。

主な診療内容

皮膚・皮下腫瘍・軟部腫瘍

代表的な良性皮膚腫瘍(できもの)

粉瘤(アテローム)
粉瘤(アテローム)は皮脂や垢の蓄積による袋状の腫瘍で、多くは日帰り手術で取り除けます。稀に感染や炎症が生じ、その場合は炎症を収めた後に手術を行います。自然に消失することもありますが、通常は徐々に大きくなることが多いです。
色素性母斑(ほくろ)
色素性母斑(ほくろ)は母斑細胞の増殖による色素性腫瘍で、多くが褐色や黒色です。出生時から存在するものもあれば、後から現れるものもあり、さまざまな形態があります。どんどん大きくなり、6mmを超えたり、非対称で色むらがある場合は悪性腫瘍の可能性が高まります。自己判断は難しいため、心配であればいつでもご相談ください。
脂漏性角化症(老人性イボ)
脂漏性角化症は皮膚の老化による褐色や黒色の良性腫瘍で、多くは40代以降に加齢に伴って現れます。一般的には痛みやかゆみはありませんが、やや盛り上がっているのが特徴です。紫外線の当たる部位によくみられます。

代表的な皮下・軟部腫瘍(できもの)

脂肪腫
脂肪腫は皮下の脂肪細胞が膨張した良性腫瘍で、身体のさまざまな部位に現れます。大きさは様々で、ドーム状の柔らかいしこりが感じられ、通常痛みはありません。自然には消えずに徐々に成長し、周辺組織を圧迫したり、目立つことがあります。脂肪腫は悪性脂肪肉腫の鑑別が重要です。
神経鞘腫
神経鞘腫は神経を構成するシュワン細胞由来の良性腫瘍で、成長は遅い傾向があります。一般的には成人に現れ、多くは皮下組織や筋肉などの末梢神経から発生します。神経に関連するため、局所の圧痛や放散痛が起こることがあります。完全に切除できれば再発の心配はありません。
ガングリオン
ガングリオンはゼリー状の粘液がたまってできる腫瘤で、主に関節周囲に発生します。20歳から50歳の間で多く見られ、特に若い女性の発症が多いです。ガングリオンは大きさが様々で、無症状であれば放置しても問題ありませんが、神経の圧迫による不快感や外見の悩みなどがある場合は、内容物を排出させる注射針を用いた保存的治療や手術による根治治療から適切な治療法を選択します。

代表的な皮膚悪性腫瘍(皮膚がん)

基底細胞癌
基底細胞癌は皮膚がんで最もよくみられるが、最も悪性度が低いとされ、転移はまれです。主に中年以降の顔面に発生し、黒色の斑状・結節状のものが多く、病変から数ミリメートル外側に切開して摘出します。特に顔面に好発するため、見た目を美しく保つために再建術が行われることがあります。
有棘細胞癌
有棘細胞癌(扁平上皮癌)は紫外線ややけど跡、ウイルス、放射線などが要因とされ、表皮角化細胞が悪性増殖することで発生します。初期病変は日光角化症・Bowen病として現れ、肌が紅く、かさつきや硬さ、盛り上がり、しこりなどの症状が見られます。進行するとただれや潰瘍が発生し、隣接するリンパ節や他の臓器に転移することがあります。
Bowen(ボーエン)病
Bowen(ボーエン)病は円形または地図状の赤みとざらつきが特徴の表皮内に生じるがんです。これは有棘細胞癌の初期段階で、転移リスクは低いとされています。通常は手術で病変を3〜5mm取り除きます。小さな病変では縫合にて閉じますが、大きな病変や難しい場合には再建術(局所皮弁術や皮膚移植)が選択されることがあります。
日光角化症
日光角化症は紫外線によって発症し、かさぶたなどを伴う赤いまだらなシミのような病態で、有棘細胞癌の初期段階で、転移のリスクは低いとされています。治療には液体窒素、レーザー、外用薬、切除などが選択肢として存在し、選択は患者の状況や病変の部位を考慮しておこないます。
メルケル細胞癌
メルケル細胞癌は稀な皮膚がんで、高い悪性度と再発率を持ち、リンパ節への転移リスクがあります。このがんは皮膚の感覚を伝える役割を果たすメルケル細胞ががん化して発症します。主に高齢の女性の頭部や顔面に発症が多い特異ながんです。

腫瘍摘出後の組欠損の再建にも対応します。

上記以外にも様々な疾患がありますので、最近大きくなった、出血するなどの気になる症状があればお気軽にご相談ください。

外傷

熱傷(やけど)

熱傷は日常生活において最も多い外傷の一つで、熱湯や油、アイロン、炊飯器からの水蒸気などが原因となり、皮膚や粘膜に熱による障害をもたらす外傷です。

熱傷は治療途中に感染が起きると瘢痕や機能障害が生じやすく、特に小児の場合は発育にも影響を及ぼす可能性があるため、直後の応急処置や早期の病院受診が重要です。

治療はまずは、いかに早期に上皮化(傷がふさがること)させることが重要です。整容面と機能面の回復を目指し、患者様と相談しながら熱傷の範囲や深さに応じた最適な方法を選択します。当院では植皮にも対応します。

また、ひきつれなどの機能面に問題が残った場合にも対応します。

手足の外傷

日常生活でよくみられる手や足の外傷は主に切創(切りきず)、擦過傷(すりきず)、裂挫創(皮膚が裂けたきず)、刺創(刺しきず)、咬傷(咬みきず)があります。

外傷には自然治癒力によって治るものがほとんどですが、キズが深く出血が多い場合は止血し、早めに病院を受診しましょう。

当院では縫合処置や皮膚軟部組織欠損創などの治療をおこなっています。

顔面外傷

顔面の損傷は交通事故や転倒、スポーツ、暴力などでよく発生し、傷跡や変形は心理的にも苦痛が伴います。顔面の骨折があると、しびれや口の開閉困難、かみ合わせの問題、複視(ものが二重に見える)などの後遺症が心配されます。

顔面外傷は主に鼻骨骨折、頬骨骨折、眼窩骨折などの顔面骨骨折、軟部組織欠損などがあります。患者様の症状に合わせた最適の治療法を見極め選択します。

外傷後の組織欠損の再建にも対応します。

上記以外にも様々な疾患がありますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。

先天奇形

耳の奇形

埋没耳
埋没耳は袋耳ともいい、耳介の上半部が側頭部の皮膚に埋もれ、指で引っ張ると元に戻る状態のことを指します。埋もれている軟骨には変形があり、片側性や両側性があります。発生頻度は比較的高く、耳介後面の音を聞く際に立てる筋肉があり、その筋肉の異常が変形を引き起こすとされています。
副耳
副耳は耳の前や頬に生まれつき見られる突起で、15%の人が発症するといわれています。遺伝的要因もあります。副耳は皮膚だけでなく軟骨を含むこともあり、耳に近い場所では副耳と耳の軟骨同士が深いところでつながることも。
耳瘻孔
耳瘻孔は耳周辺に小さな穴がある先天性の異常で、かなり頻繁に見られます。耳瘻孔から臭いのある分泌物が出ることもあり、穴から細菌が侵入することで感染が起こると切開や抗生物質治療が必要になります。慢性化すると耳前部や耳後部に膿瘍ができ、顔が腫れることも。
折れ耳
折れ耳は耳の上部が前側に折れ曲がった状態のことです。耳の大きさは折れ曲がりを元に戻すと正常であることが特徴です。胎児期に何らかの原因で耳に持続的な圧迫が加わり、それによって耳介が折れた状態で固定されることが原因と言われています。
立ち耳
立ち耳は耳介が側頭面離れ、耳が正面を向いて立っている状態を指し、側頭部と耳介の角度が30度以上である場合を立ち耳といいます。立ち耳が原因でめがねやマスクがかけられないなど日常生活に支障をきたす場合があります。

上記以外にも様々な奇形がありますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。

うまれつきの眼瞼下垂症

眼瞼下垂症は片方または両方のまぶたが下垂して黒目が半分程度隠れている症状を指します。この病態は視界を妨げたり、外見に影響を与えたりすることがあり、症状の程度によって異なる治療法を選択します。まぶたの開きを良くすることで患者様の生活の質を向上させることが目的の治療です。

臍ヘルニア(いわゆるでべそ)

臍ヘルニアは腹壁の弱さにより腸管が臍から脱出した状態で、へその周りが膨らみ、時に痛みを引き起こします。

乳幼児に多く、成長すると腹筋が発達するため自然に閉じることが多いですが、2歳を超えても塞がらない場合や成人なって生じた場合には手術が必要です。

母斑(うまれつきのあざ)

母斑とは、皮膚に生じる腫瘍の一つで、一般的には「あざ」と呼ばれています。あざには赤色、青色、茶色など様々な色の種類があり、その特徴や治療法が異なります。

レーザー治療が適応ですが、症例によっては手術を行います。

きずあと、ケロイド、瘢痕拘縮(きずによるひきつれ)

体質によるケロイドや、ケガや熱傷、手術のあとのひきつれを手術や保存的治療(注射や圧迫療法、貼薬等)で治療します。

難治性潰瘍、褥瘡

糖尿病、下肢動脈硬化症、静脈鬱滞、放射線障害などが原因でおこる難治性潰瘍や褥瘡(とこずれ)などを、患者様の症状の原因を明らかにし、その原因を排除することで正常に快癒していくよう治療を行います。

その他 変性疾患

まぶたの疾患

眼瞼下垂症
眼瞼下垂症は片方または両方のまぶたが下垂して黒目が半分程度隠れている症状を指します。この病態は視界を妨げたり、外見に影響を与えたりすることがあり、症状の程度によって異なる治療法を選択します。まぶたの開きを良くすることで患者様の生活の質を向上させることが目的の治療です。
睫毛内反(さかさまつげ)
睫毛内反はまぶたが内向きになり、まつ毛が眼球に刺激を与える状態で、視力に悪影響を及ぼすことがあります。日本人の生まれたばかりの8割程度が一時的に経験すると言われ、成長とともに自然に改善することが多いですが、改善しない場合もあります。また、加齢により内反が生じることもあります。Hotz法、Hotz変法、Wheeler法、Jones法などを用いて治療を行います。

手足の疾患

下肢静脈瘤
下肢静脈瘤は足の静脈が太くなりこぶ状に浮き出て見える症状で、静脈は血液を心臓に運ぶ役割を担っており、足の静脈は重力に逆らって血液を運ばなければならず、筋肉の収縮や静脈弁が支えています。この筋肉のポンプ作用や弁の機能が低下すると、静脈内の血液が滞留し、静脈瘤を引き起こします。
リンパ浮腫
リンパ浮腫はリンパの流れが悪くなり、腕や脚にむくみが現れる病気で、片側性のむくみ、重だるさ、張り感、皮膚の変化などが症状として現れます。原発性リンパ浮腫はリンパの形成異常により生まれつきのもので、続発性リンパ浮腫は乳がんや子宮がん治療後にリンパの流れが阻害されて生じます。

爪の疾患

巻き爪
巻き爪は爪が曲がり、爪の下の皮膚を挟む病気で、痛みや爪切りの困難を引き起こします。爪が皮膚に食い込むことで陥入爪も併発することがあります。
陥入爪(手術療法もふくむ)
陥入爪は爪が周囲の皮膚に食い込む病気で、痛みや腫れが生じ、感染を引き起こすことがあります。足の親指(母趾)によく現れ、原因は体質や深爪、きつい靴、自己処理など様々です。