アルファ・りょうま・りんたろうのお散歩日記
りょうま 2 闘病
2019年7月初め、大阪府立獣医臨床センターで造影CTの結果を聞いていた。
前立腺がん、しかもすでにリンパ節転移もしていた。
2月末から便の性状が変わったり信号は出ていたのに、大切な時間を無駄にしていた自分のうかつさに腹が立つばかりだった。
1週間ほど前におしっこにいっても出にくい状況になって、初めてかかりつけ医に診てもらった。
「膀胱炎でしょう、一応エコー検査をしておきましょう」、でやっと事の重大性に気付きセンターを紹介されたのだった。
若い担当医が感情を押さえて説明してくれた。
「欧米では前立腺がんは診断が確定すれば安楽死させることがほとんどなんです、特に去勢オスの場合悪性度が高いので・・・」
後でその理由を思い知ることになるが、その時はそんな選択肢はかけらもなかった、おしっこが出にくいだけでいつものりょうまだったのだから。
7月16日手術日を迎えた。前立腺を切除するのに違いはないが、膀胱を残せるならば、膀胱皮膚瘻を造りそこから尿がでるようにする、
そうでなければ尿管を直接皮膚につなぎます、でもその場合はおしめ生活なりますよと説明された。
りょうまにとって最善をと任せるしかなかった。
結果は膀胱を残せました、と言われ喜んだ。そんな術式が出来たという事は、状態が良かったと思ったからだ。
しかし術後管理がとても難しい方法だった、傷が落ち着くまで膀胱の中にバルーンカテーテルを入れ、出てくる尿をバックに貯めなければならなかった。
カテーテルとバックを繋ぐチューブを自分で踏んでカテーテルが抜けてしまうのだ。
手術当夜、入院中にも関わらずそれが起きてしまい緊急再手術を受けて1週間後に退院したが、その日の夜にまた抜けてしまった。
7月25日3度目の緊急手術は尿管皮膚瘻(正しくは尿管包皮瘻)になった。
りょうまは1週間に3度もの手術に耐えてくれた。
7月29日に退院したりょうまはおしめ以外前と同じように見えた。
群れに戻って安心したのだろう、穏やかな表情も戻った。
庭の空気もいっぱい吸った。
おしめを替える頻度が分からなかったので、数日一緒に病院に連れて来た。
おしめの訳を理解したりょうまは、さあ替えようかと声をかけると、すぐに立ち上がってじっとしてくれた。食事もできて事態はあまり変わらなかった。おしめやおしめホルダーもたくさん買って長期戦に備えた。 おしめを替えて、お腹を洗う時感じた熱感以外わずかな平穏が訪れた。